エッセイレシピ本『厨房から台所へ』が出来ました
ようやくお知らせできる時がやってきました。去年の夏に書き始め、半年をかけて制作してきた本が、2月14日に発売されます。
NHKプロフェッショナルで私のでこぼこな生き方が紹介されたのをきっかけに、半生を自分の言葉で振り返る機会を頂きました。一文字一文字、想いを込めて書きました。
思い出のレシピも紹介しているので、良かったらぜひ読んでみてもらえると嬉しいです。
アマゾンの予約も始まっているようです。
『厨房から台所へ――志麻さんの思い出レシピ31』より、<はじめに>
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はじめまして。タサン志麻と申します。
このたび、『厨房から台所へ――志麻さんの思い出レシピ31』を出版させていただきました。
日本では、食事の前に「いただきます」、最後に「ごちそうさまでした」と言います。
フランスだと、料理をつくった人やサービスする人が食べる人に向かって「bon appétit(ボナペティ)」と言い、言われた人は「merci(メルシー)」と答えます。
どんな意味かというと、「どうぞ食べてください」とか、「食事を楽しんでください」というようなニュアンスです。
フランス人と食事をすると、食べることを楽しんでいるなと実感します。
でも、食べているものは、意外にも質素なものが多いのです。
一方で、三ツ星レストランの料理のように洗練された華やかな面もあります。
日本の調理師学校で初めてフランス料理に出会った私は、そんな意外な二面性を知り、どんどん惹き込まれていきました。
どんなに一生懸命、時間をかけておいしい料理をつくっても、食べる人が楽しんでくれなければ、おいしさは半減してしまう。
逆に言うと、簡単につくったものでも、楽しく食べることができれば、その食事は体だけでなく、心も豊かにしてくれるものになると思うのです。
長い間、フランス料理を勉強してきて、料理だけではなく、そんなフランス人の姿をたくさんの人に知ってほしいと思っていました。
ここまでの道のりは、決してまっすぐなものではなく、親にも友達にも自分のやっていることを言えない時期もありました。
今、こうして本を書いている姿は、5年前の私には想像もできませんでした。
フランスのあたたかい家庭料理のおかげで前に歩き進むことができ、たくさんの人との出会いのおかげで、自分の夢に近づくことができました。
フランス料理の料理人と家政婦。
言葉だけ聞くと、ものすごくギャップがあるように思いますが、料理に対する想いは変わっていません。
この本には、そんな私の半生と、いろんな仕事を通して学んだ料理のコツが書かれています。
文中には、私の思い出が詰まった31のレシピをとじ込めました。
「母の手づくり餃子」「けんちょう(山口の郷土料理)」などのおふくろの味から、フランス料理のメインディッシュ「舌平目(したびらめ)のデュグレレ風」「子羊のナヴァラン」「フランスのママン直伝のキッシュ」、簡単でおいしいデザート「龍馬チョコレート」「クロカンブッシュ」「自然薯パンケーキ」、1歳の息子お気に入りの「鶏手羽元のポトフ」まで、うまくできるコツとともに紹介しました。
めまぐるしく生きてきた中で培(つちか)った、忘れられない思い出が詰まった数々のレシピたち。
中には手に入りにくい食材や本格的なレシピもありますが、身近なもので代用できるようにご紹介しています。
プロの世界で学んだレシピも、家で簡単につくることだってできるのです。
この本を読んでくださったみなさまが、料理がもっと好きになったり、楽しいと思ってくださったり、ゆっくりと楽しく食事をする時間が増えてくれれば、とても嬉しいです。
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ダイヤモンドオンラインで、編集者さんが本に掲載されている全レシピの紹介をしてくださっているので、こちらも併せてご覧ください。
本の中には、調理師学校時代のノートや思い出の写真なども載せてもらいました。少し恥ずかしいですが、ご笑覧ください。
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